あるとき、旅途中のお坊さまたちは、飢饉や洪水、戦争まで経験するうちに他所の者に対してだけでなく、村人間でも互いに知らん顔を決め込む、人のこころに無関心な人々の住む村に立ち寄ると、彼らに「しあわせ」を教えるためだと言って、鍋に“石”を入れてスープを作りはじめた。
すると、それを見たり伝え聞いたりして興味を持った者が一人また一人とその場に集まり、スープがより美味しくなるようにと様々な具材まで持ち寄ったので、スープの香りが増せば増すほど、コクが出れば出るほど、人々の心にも良い変化があらわれはじめた。
村人総出のにぎやかな時間も終わり迎えた穏やかな朝、村人たちから感謝を伝えられたお坊様たちは、“しあわせ”も実はスープを作るように簡単なことなのだとだけ説いて、村をあとにしたのだった。
ジョン=J=ミュース・作
三木卓・訳
(原題:Stone Soup)
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2
読み聞かせにかかった時間:7分程度
マーシャ・ブラウン作『せかいいち おいしいスープ (大型絵本)』と同じ展開をみせる今回のお話。ヨーロッパ民話にルーツをもち、少しだけかたちを変えながら、世界各国・地域で愛されているようです。
『せかいいちおいしいスープ』は「村人をだまして兵隊たちが食事にありついた」と解釈してしまう子もいましたが、今回のお話なら大丈夫。
読み聞かせてもらった子たちが、石のスープは真似ずに、すてきな気持ちの分け合い方を学んでくれたらと願います。
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