弱視から全盲へ、つまり一般的に言えば“軽度”障がい者から“重度”障がい者になることで、体験と扱われかた両面で変化を経験された著者によって、本物の“共生”を目指すために必要な視点が提案されている1冊。
身体に不自由な点のほとんどない大多数の人たちが普段考えずに通り過ぎてしまうところを、いたって当たり前のこととして語り、示してくれている。
知らないのに知ろうとしない、知ろうとせずに知ったつもりでいる、知ったつもりで一括り(ひとくくり)にしてしまう、一括りにして築いた先入観をもとに新しい場面についても単純な思考・判断を下してしまう、といった“障がい”というテーマに限定されない普遍的な課題について、考えさせられる指摘に溢れている。
“ふつう”や“あたりまえ”と言われるものの中に、“フツー”と書いてしまったほうが適当に思われるような、内容の希薄なものがあると感じたことはありませんか。
集団や環境、時代の変化などによって“ふつう”や“あたりまえ”もまた異なって当たり前、「じゃあ、“あたりまえ”って何だ?」…と考えたことはありませんか。
本当に必要なものは、“あたりまえ”を【疑い】、“ふつう”について議論してみた先にあることも多いもの。それを、これまた私たちが目を伏せがちな“障がい”という切り口から語ってくれる、爽快な良書です。中学生や、これから読書に興味を持ちはじめる高校生にもおすすめです。
倉本智明・著
薦めたい学年:中学生以上
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