この本を読んだ後、私は自分とおばあちゃんとのことについて、考え始めていました。
その話の主人公、優子は、おばあちゃんが認知症になって幼ち園児みたいに手がかかるようになってから、おばあちゃんのことを苦手だと感じるようになっていました。
ある時、おばあちゃんにこだわりの石けんがあり、そのかおり以外は気に入らず体を洗いたがらないことを知った優子は、同じ石けんを手に入れました。ただ、古いものだったため、においがぬけてしまっていました。ところが、優子が石けんを手にしながら、昔の、おばあちゃんとの楽しかった記憶を思い出していると、だんだんと石けんからお花畑のにおいがしてきました。それは、優子にとってもなつかしいかおりでした。
おばあちゃんとお風呂に入ると、おばあちゃんも喜び、二人ですばらしい時間を過ごすことができました。かおりといっしょに、時間ももどってきたようでした。
今回紹介の図書『古道具 ほんなら堂』には4つのお話が収録されていますが、その中から「まめだのせっけん」に惹かれた教室在籍の小学5年生が、昨年夏の読書感想文で書いた冒頭・あらすじ部分を紹介させていただきました。
本書では、どのお話でも、不思議な古道具屋の少し近寄り難い女主人・橙花さんが、問題解決のための力を貸してくれます。 ただし、ほんの少し。 登場するこどもたちが抱えているテーマは、祖母の認知症や、友人関係、いじめなど重いものですが、借りる力は少しだけ。 あとはそれぞれで切り拓いていく。 そこが良いですね。
彼女はこの後、少しわがままだと感じていたおばあちゃんと自分との距離について、主人公・優子のように、今とかつてとを【比較】しつつ、こころのままを原稿用紙につづりました。 お母さんが取られたようでいやだと感じていた過去。 5年生になってみて、じつはそのおばあちゃんが自分を大切に想ってくれていたと気付けたこと。 夏休み、おばあちゃんと触れ合う時間がいつもよりもあるなかで得た、反省と感謝。 良いものが書け、満足していた表情が思い出されます。
楠 章子・文
日置由美子・絵
薦めたい学年:5年生~6年生
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