読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



ストーリーの続きを想像する

このお話の途中に、男が絵画セットを買う場面があります。 泥棒したのではなく、野菜を育てて売ることで手にした正当なお金で購入したのです。
しかし、その帰り道に戦争が勃発し、先に上げました内容紹介の通り、男の小屋や大切な畑は見るも無残な姿に変えられてしまうため、男が生まれて初めて泣いて、物語は終わるわけです。 つまり、男は絵を描いていません。

読み聞かせが終わりましたら、もう一度お子様と一緒に表紙を確認してください。 そこにあるのは、あの大きな白い花を、広がるお花畑の中で描く男の、満足そうなの笑顔なのです。
ぜひ、ここでも答えの決められていない、オープンエンドの問い立てを行ってみてください。 物語の終わりから表紙の絵に表されている状態までの、空白を繋ぐ続きのお話を、こどもたちに想像してもらいましょう。

授業で取り扱った際には、正統派と呼べそうなものから、まず復讐劇が展開されるような内容まで、さまざまな案が出てきました。 男が元泥棒であるという設定が、想像を色々にかき立てるようです。 読者の皆様も「どうしてそう考えたのか」を確認しながら、こどもたちの論理を味わってみてください。


『どろぼうがないた』
杉山としひこ・文
ふくだじゅんこ・絵
薦めたい学年:読み聞かせ Level 2


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