読書も学びも積み上げていくもの



 読書も学びも、積み上げていくものです。
 各書籍の紹介ページに、「薦めたい学年」を記載しましたが、読書は何も焦る必要がないので、下から順に積み上げるように薦めてあげて下さい。 一生かけて良いものをゆっくり読んでいけばいいのです。
 「うちの子は読めるから」は多くの場合、過信です。 教室でこどもたちと接していても、入室当初から問題なく読書できる子は少ないもの。その上、きちんと矯正してあげなければ、いつまでも悪い癖が抜けません。 冊数と時間とを無駄に重ねてしまうというのが、一番怖いことです。
 ここに記した「薦めたい学年」を参考に、皆さまには適切な選書とお子様方への直接の本紹介そして、ときどき内容確認をお願いしたいところです。 まずは「当サイトの眺め方」をご覧ください。



『100万回生きたねこ』解説

この作品は、1977年の初版より現在までに100回ほどの刷りなおしがなされた名作であるが、これが名作たる所以は、物語のテーマともなる“たいせつなこと”が明示されておらず、読み手が考え続けなければならないところにあると私は思う。
このように、答えが「これだ!」と決まっていない内容のものについては、親として、教師として、次のようなオープンエンドな問いかけをしてあげることが、こどもたちの教育には大切だろう。

・この主人公は、何回生まれ変わっても、そばにいる人が好きではない(自分の人生が好きではない)けれど、それはなぜだろう?

・何回でもねこが生まれ変わったのは、なぜだと思う?

・白いねこが死んでしまったのは、なぜだろう?

・「生まれてきたものは、みな幸せになる権利がある」って言葉があるけれど、それを考えながらこの本を読むと、どう感じる?

・「自分が一番好き」な時には、死ぬことさえなかったのは、なぜだろうか?

などなど。
本の内容理解の深さ、答えは、もちろんこどもたち各々の経験ともつながりをもっている。そのため、答えが少々変でも焦る必要はないが、あまりにちんぷんかんぷんなことを言っていたら、字は追えていても理解にはつながっていないと考えよう。様々な読書や経験の後で、何度でもその本に戻ってくるのが良いと思う。
何才になっても、大人でも読む必要があると記したのは、そのような見解からだ。


 『100万回生きたねこ』
佐野洋子・作
薦めたい学年:1年生後半〜いつまでも


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